カメ(亀)は、のんびりとした動きや愛らしい見た目から、ペットとしても親しまれている動物です。一方で、種類によって必要な飼育環境が異なり、長寿な動物であることから、迎える前に知っておきたいポイントも少なくありません。この記事では、カメの特徴や代表的な種類、飼う前に知っておきたいポイント、注意したい病気のリスクについてわかりやすく解説します。これからカメを飼いたいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
カメの特徴

カメは、甲羅を持つ独特な見た目や長い寿命など、ほかのペットにはない特徴を持つ動物です。まずは、知っておきたい体のつくりや生態について見ていきましょう。
甲羅(こうら)をもつ独特な体のつくり
カメの最大の特徴は、なんといっても体を覆う大きな甲羅です。甲羅は単なる硬い殻ではなく、肋骨や背骨と一体化した骨格の一部で、背中側の「背甲(はいこう)」とおなか側の「腹甲(ふっこう)」からできています。
外敵から身を守る重要な役割があり、危険を感じると頭や手足を甲羅の中に引っ込めます。また、甲羅の大きさや形は種類によって異なり、それぞれの生息環境や暮らし方に適した特徴を備えています。
寿命が長い
カメは長生きする動物として知られています。「鶴は千年、亀は万年」ということわざがあるように、古くから長寿の象徴として親しまれてきました。
種類によって寿命は異なりますが、クサガメやニホンイシガメでも20〜40年以上生きることがあります。リクガメはさらに長寿で、50年以上生きることもあります。
自分で体温を調節できない変温動物
カメは、人間のような恒温動物とは違って、体温を一定に保つことができない「変温動物」です。そのため、周囲の気温や水温の影響を受けながら体温を調節しています。
日当たりの良い場所で体を温めたり、涼しい場所や水中へ移動したりしながら体温を調節しているのが特徴です。
水辺で暮らす種類と陸で暮らす種類がいる
カメと聞くと水辺にいる姿を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。しかし、ペットとして飼われるカメには、水辺で生活する種類だけでなく、草原や森林など陸上で暮らす「リクガメ」と呼ばれる種類もいます。
同じカメでも生活環境はさまざまで、水中で過ごすことが多い「水棲ガメ」、水辺と陸地の両方を行き来する「半水棲ガメ」、陸上を中心に生活する「リクガメ」などに分けられます。
カメの種類
ここでは、ペットとして飼われることが多い主な種類をご紹介します。
クサガメ

分類:半水棲
体長:15〜30cm
体重:0.5〜1.5kg
寿命:20〜40年
顔の黄色い模様と背甲にある3本のキール(隆条)が特徴。危険を感じると独特のにおいを出して身を守ります。
ニホンイシガメ

分類:半水棲
体長:15〜25cm
体重:0.5〜1kg
寿命:20〜30年
日本固有のカメ。黄色みのある甲羅と後縁のギザギザが特徴で、幼体は銭に似た見た目から「ゼニガメ」と呼ばれます。
ミシシッピニオイガメ

分類:半水棲
体長:10〜15cm
体重:200〜500g
寿命:20〜30年
ドーム状に盛り上がった甲羅と、頭部に入る左右2本ずつの白いラインが特徴です。半水棲ガメの一種ですが、水中で過ごすことを好みます。
キボシイシガメ

分類:半水棲
体長:12〜18cm
体重:300〜800g
寿命:20〜30年
黒い甲羅や頭部に黄色い斑点があり、夜空に輝く星のように見えることからその名が付けられました。美しい見た目が魅力のカメとして知られています。
ヘルマンリクガメ

分類:リクガメ
体長:20〜30cm
体重:2〜4kg
寿命:30〜50年
ドーム状に盛り上がった甲羅と、黄色と黒のはっきりとした模様が特徴です。比較的小型で飼育しやすく、人気があります。
ギリシャリクガメ

分類:リクガメ
体長:20〜30cm
体重:2〜5kg
寿命:30〜50年
ドーム状の甲羅と美しい模様が特徴のリクガメです。甲羅の模様がギリシャ織のように見えることから、その名が付けられたとされています。
カメを飼う前に知っておきたいポイント
ここでは、飼育を始める前に確認しておきたいポイントを紹介します。
長期飼育が前提となる
カメは長寿な動物で、種類によっては数十年にわたって生きることがあります。そのため、ペットとして迎える際は、長く付き合う家族の一員として考えることが大切です。将来の住環境やライフスタイルの変化も見据えながら、最後まで責任をもって飼育できるかをよく考えておきましょう。
また、飼育が難しくなったからといって、カメを野外に放してはいけません。特に、かつてペットとして広く飼育されていたミシシッピアカミミガメ(ミドリガメ)は、飼い主による放流などによって全国各地に定着し、生態系への影響が問題となっています。現在、ミドリガメは「条件付特定外来生物」に指定されており、野外に放したり逃がしたりすることは法律で禁止されています。違反した場合は罰則の対象となります。
「池なら生きていけるだろう」「自然に返してあげたい」と思うかもしれませんが、その行為が在来種や生態系に大きな影響を与えることがあります。飼えなくなっても野外へ放すことは絶対に避け、責任をもって飼育を続けるか、新しい飼い主を探すなど適切に対応しましょう。
種類によって必要な飼育環境が異なる
カメとひと口にいっても、種類によって必要な飼育環境は大きく異なります。水棲ガメや半水棲ガメは、水場と陸場を備えた水槽での飼育が基本となります。一方、リクガメは広い陸上スペースを確保したケージで飼育します。また、種類によって適した餌も異なります。
水棲・半水棲ガメは人工飼料を主食とし、魚介類や昆虫なども組み合わせて食べるのに対し、リクガメは野菜や牧草を主食とします。成長後の大きさや飼育方法にも違いがあるため、飼育を始める前に特徴をよく確認しておくことが大切です。
先ほど挙げた代表的な種類ごとの主な飼育環境、餌の違いをまとめました。
| 分類 | 種類 | 体長 | 主な飼育環境 | 主な餌 |
|---|---|---|---|---|
| 半水棲 | クサガメ | 15〜30cm | 水槽 | 人工飼料、小魚、昆虫類 |
| ニホンイシガメ | 15〜25cm | 水槽 | 人工飼料、小魚、昆虫類 | |
| ミシシッピニオイガメ | 10〜15cm | 水槽 | 人工飼料、小魚、甲殻類 | |
| キボシイシガメ | 12〜18cm | 水槽 | 人工飼料、小魚、昆虫類 | |
| リクガメ | ヘルマンリクガメ | 20〜30cm | ケージ | 野草、牧草、野菜 |
| ギリシャリクガメ | 20〜30cm | ケージ | 野草、牧草、野菜 |
温度管理とバスキングが欠かせない
カメは体温を一定に保つことができない変温動物です。そのため、体温を維持するためには適切な温度管理が欠かせません。水温や室温が低くなりすぎると活動量や食欲が低下するため、季節や気温に応じてヒーター・水槽用ヒーターを使用し、環境温度を一定に保つ必要があります。
また、バスキング(日光浴)も重要です。カメは日光やUVB(紫外線)を浴びることで体内でビタミンD3が合成され、カルシウムの吸収・代謝が促されます。その結果、甲羅や骨の健康維持につながります。屋外で日光浴をさせることもありますが、脱走や熱中症のリスクがあるため注意が必要です。そのため、屋内飼育ではバスキングライトやUVBライトを使用して、日光に近い環境を整えるのが一般的です。
カメの病気リスク
ここでは、注意したい病気や異常のサインについて解説します。
呼吸器疾患
カメはさまざまな病気にかかる可能性がありますが、その中でも注意したいのが呼吸器疾患です。温度管理の不足、急激な温度変化、不衛生な生活環境などから発症し、鼻水が出る、口を開けて呼吸する、食欲が低下するといった症状がみられます。
変温動物のカメは、適切な環境温度の維持が健康管理の基本です。
甲羅の異常
カメの甲羅は丈夫に見えますが、強い衝撃によって傷が付くことがあります。甲羅に傷ができると、そこから細菌などが侵入し、二次的に感染症を引き起こすことがあるため注意が必要です。また、日光浴不足や栄養不足などにより甲羅が変形する、柔らかくなるなどの異常もみられます。
皮膚や目のトラブル
カメは皮膚や目のトラブルを起こすこともあります。例えば、目が腫れる、目やにが増える、まぶたが開きにくくなるといった症状が見られることがあります。また、皮膚の赤みや腫れ、ただれなども注意したいサインです。
こうしたトラブルは、水質の悪化や不適切な飼育環境、栄養バランスの偏りなどが原因となります。日頃からカメの様子を観察し、目や皮膚に異常がないか確認することが大切です。
カメは体調不良を隠そうとするため、飼い主が異変に気付いた時にはすでに病気が進行していることもあります。ここで挙げたような異常や症状がみられた場合は、何らかの病気のサインかもしれません。日頃から様子をよく観察し、気になる変化があった場合は早めに動物病院へ相談しましょう。なお、カメを診察できる病院は限られているため、事前に対応可能な動物病院を確認しておくと安心です。
カメにおすすめのペット保険のご紹介
ペットには人間と違って公的な健康保険制度がなく、病気やけがの診療費は全額飼い主さまの自己負担です。
「ペットは言葉で伝えることが出来ません」
ペットの何気ない変化を見逃さず、動物病院へ足を運んでいただき、けがや病気の早期発見・早期治療につながるよう、ペット保険をお役立てください。

監修者プロフィール
獣医師 藤沼 淳也
獣医学部卒業後、動物病院にて臨床業務に従事。
猫専門病院の院長を経て、現在はより良いペットの生活環境の構築に尽力。
