もくじ
愛犬の体を触っていたら、「あれ?こんなところにしこりなんてあったっけ?」と気づくことがあります。もし、愛犬の体にしこり(イボ、腫瘍、できもの)がある場合、それはどんな病気の可能性があり、どんな治療が必要なのでしょうか。
今回のコラムでは、しこりから考えられる病気と早期発見のために飼い主に知っておいて欲しい知識をご紹介します。
犬のからだにしこりを見つけたら~悪性腫瘍(がん)の可能性~
私たち人間と同様、犬のしこりには炎症によるものや過形成※、腫瘍があり、腫瘍には、良性と悪性があります。
腫瘍が悪性だった場合、からだの各部に転移し、命に危険を及ぼすこともあり、しこりの種類によって症状や治療法が異なります。
そのため、愛犬のしこりを見つけたら、早い段階で動物病院にて診察してもらいましょう。
※過形成とは、外的な原因により、細胞が正常な形態や配置を保ったまま、過剰に増殖することを言う。
犬のしこりチェック~しこりを見つけた時の対処方法~
病気の治療の早期発見・早期治療のために、日頃から愛犬をチェックしましょう。
しこりのチェック方法
全身をよく触り、しこりがないかをチェックしましょう。
しこりを見つけた場合には、以下のポイントもチェックしてください。
からだのどの部位にしこりがあるか?
しこりの大きさは?
他にもしこりがないか?
しこりを触ったら痛みがあるか?
しこりの数や大きさに変化はないか?
しこりを見つけたら~動物病院で検査を!~
しこりは見た目だけではそれが腫瘍かどうか、良性か悪性かの診断はできません。
しこりの診断をするにはいくつか検査を受ける必要があります。ひとつの例としては、しこりに針を刺して採れた細胞を観察する方法があります。しこりの種類によってはこの検査で診断できることもありますが、組織の一部または全部を切除する病理組織検査が必要になることもあります。
しこりを発見したらなるべく早めに動物病院を受診し、早期に対処しましょう。そのままにしておくと、しこりが急に大きくなったり、病状が悪化し、治療が手遅れになってしまうかもしれません。愛犬の命を救うのは、飼い主さんの日頃からの観察と迅速な対応です。しこりの治療方針については、動物病院の先生としっかり相談しましょう。
犬のからだにできた「しこり」から考えられる病気
犬の体にしこりを見つけた時に可能性がある病気と注意点ご紹介します。
乳腺腫瘍~乳房にできた「コリコリとしたしこり」は要注意!~
乳腺腫瘍と聞くと、メスだけになる病気だと思いがちですが、オスにも発生する可能性もあるため注意が必要です。
乳腺腫瘍は、乳頭やその周辺にある乳腺という組織が腫瘍化した病気です。乳腺部のしこりとして触れられ、熱感を持つ場合もあります。
治療は外科的に腫瘍を切除します。
切除した組織の病理組織検査を実施し、良性か悪性かが診断され、良性と悪性の比率としては半々です。
悪性の乳腺腫瘍の場合、外科手術にて腫瘍を取り除いた後に、抗がん剤を用いた化学療法を行うことがあります。
また、炎症性乳癌という非常に悪性度が高く、致死率の高い乳腺腫瘍もあり、炎症性乳癌の場合、手術は推奨されません。
肥満細胞腫~犬に多い病気!皮膚のできものを放置しないで!~
犬の肥満細胞腫は、皮膚にみられることが多い腫瘍で、基本的にはすべて悪性です。皮膚の肥満細胞腫の悪性度は低いものから高いものまであり、その挙動はさまざまです。
悪性度の高いものはリンパ節や肝臓、脾臓などの臓器に転移することがあります。
治療は外科手術の他、場合によっては抗がん剤や放射線療法が必要になります。
肥満細胞腫は、犬の皮膚にできる腫瘍で最も多い腫瘍です。
その形態もさまざまで、皮膚炎のように皮膚に赤みをつくるものや、しこりをつくるものなどがあります。
見た目では診断できないため、皮膚に異常を感じたらすぐに動物病院を受診しましょう。
リンパ腫~血液のがん!?早期発見が重要!~
リンパ腫は、体の免疫を担うリンパ球ががん化して発症する病気で、発生部位により分類されます。ここではその中からいくつかをご紹介します。
リンパ腫は主に抗がん剤を用いた化学療法による治療が必要です。
多中心型リンパ腫~下あご、脇の下、股の内側、膝の裏のリンパの腫れに注意~
犬にもっとも多く発生するリンパ腫が、この多中心型リンパ腫です。
下あごや脇の下、股の内側、膝の裏などのリンパ節が数か所にわたり腫れる(しこりができる)のが特徴です。
消化器型リンパ腫~嘔吐・下痢が見られたら~
消化管のリンパ組織やリンパ節が腫れることが特徴で、嘔吐・下痢といった消化器症状が見られます。
皮膚型リンパ腫~皮膚炎のような赤み、脱毛が見られたら~
皮膚炎によく似た症状で、紅斑(皮膚の赤み)・脱毛などの皮膚症状がみられます。
実際の治療例
※過去の当社への保険金請求データをもとに、シミュレーションした事例です。
※下記の診療費等のデータは一例であり、一般的な平均・水準を示すものではありません。

- 病名
- 乳腺腫瘍
- ペット品種
- ポメラニアン
- 事故年齢
- 6歳
- 加入プラン
- いつでもパック プレミアム
治療費合計:190,630円
給付率:86.1% 自己負担率:13.9%
- 給付事例の詳細はこちら
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保険金種類 治療費用 保険金支払額 自己負担 自己負担の内容 手術 176,550 150,000 26,550 補償限度額超過 入院1日目 3,850 ー ー 入院2日目 3,300 ー ー 入院3日目 4,730 ー ー ∟入院合計額 11,880 11,880 0 診断書費用 2,200 2,200 0 合計 190,630 164,080 26,550
乳腺腫瘍でポメラニアンが治療のため手術、入院したところ、190,630円の治療費用となりました。
当社ペット保険のプリズムペット プレミアムプランに加入していた場合は、164,080円が支払われ、自己負担は26,550円です。
犬のしこりにも備える!おすすめなペット保険
犬の「しこり」も補償対象
「動物病院の高額な治療費が気になり、気軽に通院できない…」
そんな時、ペット保険に入っていれば負担が軽くなります。大切な家族である愛犬がいつでも適切な治療を受けられるようにペット保険の加入も検討してみてください。
監修者プロフィール
獣医師 藤沼 淳也
獣医学部卒業後、動物病院にて臨床業務に従事。
猫専門病院の院長を経て、現在はより良いペットの生活環境の構築に尽力。